馬券にはさまざまな買い方が存在しています。
具体的には「1点買い」や「ボックス」、「フォーメーション」に「流し」など、複数の買い方が存在しています。
その中でも「流し」は軸となる馬と相手馬を選択する買い方で、多くの方に好まれている購入手段です。
流しは高配当に結び付きやすい買い方ですが、一度のレースで複数の馬券を購入するため、競馬を始めた初心者にとってはよく分からない買い方かもしれません。
そこで、当記事では競馬の流しがどういったものなのか紹介したうえで、たくさんある流しの買い方について説明します。
流し馬券の買い方が気になる方はぜひ参考にしてください。
競馬の流しとは?意味や計算式を解説
そもそも、競馬の流しがどういったものなのか、軽く説明します。
流しとは、「軸」となる馬を1頭、そして「相手馬」を2頭以上選択して購入する買い方です。
2点以上の馬を購入する多点買いになりますが、最大の特徴はいずれも組み合わせも軸馬が馬券に絡んでいることです。
軸となる馬が確実に馬券に絡むようでしたら流しは強力な買い方となるでしょう。
反対に、軸となる馬が馬券外に沈んでしまったら、いくら相手馬が馬券内に入線しても馬券は外れとなります。
限られた買い目で当たった時の高配当にも期待できることから、流しはハイリスクハイリターンだといえるのです。
ちなみに、流しを「ながし」と表記する新聞社やネットメディアもありますが、意味は全く同じです。
「流し」の意味
流しの意味を簡単に紹介すると、「軸」となる馬から複数の「相手馬」に流すことから来ています。
ちなみに、流しは競輪や競艇にも存在している買い方で、公営競技全般でも活用されています。
流し馬券の計算式
馬券の種類にもよりますが、流しの組み合わせを
馬連や馬単、ワイド、枠連といった2頭の馬を組み合わせて購入する券種の場合は相手馬の数がそのまま購入点数につながります。
中央競馬における最大出走頭数は18頭なので、馬連・馬単・ワイド・枠連における流しの最大組み合わせ数は17通りです。
三連複と三連単の場合は軸馬を1頭にするのか、2頭にするかで変わります。
軸2頭の場合は馬連や馬単と同じく、相手馬の数がそのまま組み合わせ数になります。
軸1頭の場合、三連複は以下の計算式で決まります。
三連複の軸1頭流しは、突き止めれば「軸1頭と馬連ボックス」と同じなので、計算式は馬連ボックスと同じです。
三連単の軸1頭流しの組み合わせ計算式は下記の通りです。
三連単の軸1頭流しは、「軸1頭と馬単ボックス」と同じなので、組み合わせの求め方は馬単ボックスと同じ数式が利用できます。
競馬の流しとは?ボックスやフォーメーションとの違い
冒頭でも少しお伝えしましたが、競馬には流し以外にも「ボックス」や「フォーメーション」といった買い方が存在しています。
ここからは、流しとボックス、フォーメーションの違いについてまとめました。
流しとボックスの違い
流しは軸となる馬と相手馬を設定し、軸から複数の相手馬に馬券を流す多点買いです。
対して、ボックスは選択した馬全ての組み合わせをまとめて購入します。
ボックスの場合は全ての組み合わせを購入するため、購入点数が増えます。
購入点数が増えるということは、的中率も高まる半面買い目が増えるため馬券購入資金も必要です。
例えば、A,B,C,D,Eの5頭の馬がいるレースで、三連単のボックスを購入します。
三連単の5頭ボックスは60通り存在するため、1点100円で購入する場合でも6,000円の馬券代が必要です。
ところが、Aという馬を1着軸に設定し、Bを2着軸に固定して流した場合は2頭軸流しで相手の数がそのまま購入点数になるため、3点で済みます。
ボックスは組み合わせ数が多くなるため的中率が増える半面、購入点数も比例して増加するデメリットがあるのです。
対して、流しは軸馬を決めることで買い目を極力削ることができるので購入点数は抑えられますが、購入点数自体は少ないのでボックスより外れる可能性は高いです。
もしも、確実に入線する馬が分かるようでしたら流しのほうが回収率向上に期待できるでしょう。
ただし、いくら頭をひねっても一向に軸馬が読めないレースでは幅広くボックスで購入するほうがよいかもしれません。
流しとフォーメーションの違い
フォーメーションは着順ごとに好きなように買い目を選択できます。
着順ごとに指定する意味では流しと似た買い方に見えますが、流しと異なり、軸馬を複数選択することが可能です。
例えば、流しにおける軸馬は1頭のみとなっています。
しかし、フォーメーションでは1着軸に複数の馬を選択することが可能です。
着順ごとに来るであろう馬を自由に選択できる自由度の高さがフォーメーションの最大の特徴といえます。
ただし、自由度が高すぎて公式の計算式は存在していません。
そのため、フォーメーションで予想する場合はJRAの公式サイトにある「はじめての方へフォーメーション組合せ数計算」を活用しながら予想している人が多いです。
競馬における流しの買い方10選
競馬の流しにはたくさんの買い方が存在しています。
当サイトで調べたところ、流しの買い方は10通りも存在していました。
ここからは、流しの買い方10通りについてそれぞれ解説していきます。
馬連流し
馬連流しは馬連馬券で軸馬を決め、相手馬を複数選択して流します。
軸馬が1~2着に入線し、いずれかの相手馬も1~2着に入線したら馬券的中です。
連対圏(1~2着)に入線するであろう馬を見つければ予想しやすい券種で、競馬初心者からオールドファンまで、多くの人に人気のある買い方です。
馬単流し
馬単流しは馬単馬券で軸馬1頭、相手馬を複数頭選択して流す買い方です。
馬単流しは着順まで当てなければならないので、馬連流しよりも組み合わせ数は多く、難易度は高めです。
しかしながら、馬連の平均配当が6,000円に対して馬単は12,000円なので当たった時の配当妙味も馬単の倍あります。
馬連流しよりも難しくなった半面、配当期待値も高い買い方といえるでしょう。
なお、馬単流しの軸馬は必ずしも1着にする必要はありません。
確実に2着に来るであろう馬が見つかるようでしたら軸馬を2着固定にして流す方法もあります。
ワイド流し
ワイド流しはワイド馬券で軸馬を1頭、相手馬を複数選択して流す買い方です。
ワイドは的中範囲が1~3着まであるため、複勝で買いたい馬が軸馬に向いています。
組み合わせ数は馬連流しと同じですが、ワイドは的中パターンが3通りあるため実質的には馬単流しの3倍的中率があります。
馬連流し以上に的中率が高いため初心者向けの流しですが、その分配当妙味も小さくなりやすいので、1点当たりの投資金額を増やしてリターンを得るのが基本的な買い方です。
枠連流し
枠連流しは枠連馬券で軸となる枠番をひとつ、そして相手となる枠番を複数選択して流す買い方です。
理屈としては馬連流しと全く同じで、違いは馬番で購入するのか、それとも枠番で購入するかのみです。
枠番は最大で8つしか存在せず、最大組み合わせ数は36通りしかありません。
しかも、1つの枠に1~3頭の馬がいるので数ある流し馬券の中でも的中率は高いです。
購入する人もそこまで多くないので、レースによっては馬連以上の配当が付く場合もあり、意外と侮れない買い方なのです。
三連複流し
三連複流しは、三連複で軸となる馬を1~2頭選択して流す買い方です。
三連複は一見難しい券種に思いますが、軸となる馬は1~3着に入線すればよく、複勝で購入したい馬が三連複流しの軸向きとなります。
そして、相手候補も1~3着に入線したら馬券的中です。
馬連流しの対象が1~2着までなので、対象範囲としては三連複流しのほうが広く、レースによっては馬連流しよりも的中できる場合もあります。
3頭の馬を選択しなければいけないので一見難しそうですが、言い方を変えれば着順問わず選択した軸と相手馬が馬券に絡めば的中するので、意外と予想しやすいです。
少額でも予想できる上、配当妙味にも期待できるので少額で高配当を得たい方に向いています。
三連単流し
三連単流しは三連単で軸馬を1~2頭選択し、相手馬を複数等選択して流す買い方です。
馬単流しに3着馬も追加された買い方で、的中難易度は非常に高いです。
しかしながら、勝ち馬が予想できるようでしたら2~3着馬を複数頭選択し、当たった時の高リターンに期待できます。
また、軸となる馬を2頭以上見つけることができれば少ない買い目で楽しむことができるので、馬券予想が好きな方におすすめできる買い方です。
2頭軸流し
2頭軸流しは三連複と三連単の流しで使用される買い方で、軸となる馬を2頭選択して相手に流します。
2頭も軸馬を選択するので買い目を極力抑えることができるのが最大の強みです。
当たった時は回収率の大幅向上に期待できるでしょう。
ただし、2頭軸は選択した2頭が必ず馬券に絡まなければなりません。
三連単の場合は着順まで当てなければいけないのでリスクは非常に大きいです。
馬券に絡む馬、もしくは着順まで予想できるようでしたら買ってみてもいいかもしれません。
マルチ
マルチは馬単と三連単流しのみ使用される買い方で、軸と相手を入れ替えた組み合わせも同時に購入できます。
軸と相手が反対の買い目も抑えられるので、着順が逆になっても馬券は的中です。購入点数を増やすことで的中率を高める買い方ですが、購入点数は倍以上になります。
例えば、マルチを選択していないときと比較すると、馬単流しの場合は2倍、三連単軸1頭流しは3倍、三連単軸2頭流しは6倍です。
マルチは抑えが利きますが購入点数が一気に増えるため、馬券購入資金に余裕がなければおすすめできません。
〇頭流し
〇頭流しの「〇」の部分には流した相手の数が入ります。
例えば、A,B,C,D,Eという5頭の馬がいるレースでAを軸に、B~Eの4頭に流す場合は4頭流しと呼びます。
総流し
総流しは軸となる馬を差し引いた残り全ての馬を相手馬に選択して流す買い方です。
軸馬を除いた全通りを購入するため総流しと呼びます。
総流しは、軸となる馬が馬券に絡んでくれれば相手はどの馬が来ても馬券的中となりますが、組み合わせ数が増えるため、トリガミのリスクもあります。
基本的にあまり利用されない買い方ですが、軸馬が穴馬の場合は高配当につながる可能性もあるため、穴馬を軸にするときは時々使用されます。
競馬における流しの書き方とは?
流し馬券を購入するときは青のマークシートを利用します。
片面が「連複ながし」用でもう片面は「連単ながし」用です。
連複流しでは枠連と馬連、ワイド、そして三連複が対象となっており、連単流しは馬単と三連単が対象となっています。
最低でも下記の項目は記入しなければなりません。
- 場名
- レース番号
- 式別
- 軸馬1着(馬番)・2着(馬番)・3着(馬番)のいずれか
- 相手馬(馬番)
- 1点あたりの金額
- 単位
全ての項目に記入したら最寄りの券売機で記入したマークシートと馬券購入代金を投入することで馬券が発券されます。
なお、1枚のマークシートでどちらか片方しか使用できませんので連複ながしも連単ながしも購入したい場合は2枚以上マークシートを使いましょう。
また、馬券の発売締め切りは発走時刻の2分前となっています。
競馬の流しのメリットとは
競馬の流しにはさまざまなメリットがあります。
ここからは、流しにおけるメリットを2つ紹介します。
流しのメリット1:買い目を絞ることができる
流しのメリットは買い目を絞ることができます。
同じ多点買いのボックスと比較すると、馬連で5頭の馬をボックスで購入した場合の購入点数は10点です。
しかし、5頭の内、連対するであろう馬を1頭見つけた場合の馬連流しの場合、相手候補は4頭なので買い目は4点です。
ボックスと比較すると買い目を半分以下に抑えることができました。
軸馬さえ見つけることができれば流しは買い目を大幅に抑えることができるため、非常に役立つ買い方といえます。
流しのメリット2:どの着順に入線しても買い目は同じ
流しは着順ごとに買い目の点数は同じです。
例えば、三連単の軸1頭流しで相手に5頭の馬を選択した時の購入点数は10通りです。
このとき、軸となる馬は必ず1着でなくても問題ありません。
例えば、2~3着に来る馬が見つかったらその馬を2~3着固定にして残りの馬5頭を流した場合でも購入点数は10通りです。
軸馬はどの着順に入線しても問題ありません。
もちろん、勝ち馬を探すのがもっとも分かりやすくて予想しやすいですが、競走馬の中には高確率で2~3着に入線する馬がいます。
着順問わず点数は一律であることは覚えておきたいです。
競馬の流しのデメリットとは
競馬の流しは小数点買いで高配当に結び付きやすいため回収率向上しやすいです。
ただし、メリットだらけというわけではなく、少なからずデメリットも存在しています。
どのようなデメリットが存在しているのか、詳しく説明します。
流しのデメリット1:軸馬が外れたら馬券も外れる
流しの最大のデメリットは軸馬が着外に沈んだらその時点で馬券は外れてしまうことです。
軸馬が着外に沈んでしまったらいくら相手馬が馬券に絡んでも馬券は不的中となるため、意外とシビアです。
流しは完全に軸馬に依存している買い方なので、軸馬が高確率で絡む根拠がなければあまり役立たない買い方といえるでしょう。
流しのメリット2:実力が拮抗しているレースでは不向き
流し馬券は、出走馬の実力が拮抗しているレースでは不向きです。
拮抗しているレースというのは、主に単勝オッズに反映されています。
例えば、単勝1番人気にもかからわず単勝オッズが5倍以上付いている場合、2番人気以降の馬とオッズの差はそこまでないでしょう。
そもそも競馬のオッズとは馬券購入者の支持の割合で決まるため、オッズの差が小さいということはだれが勝ってもおかしくないレースなのです。
当然馬券に絡む候補も複数いるので軸馬を見つけるのも難しいです。
このようなレースでは流しよりも幅広く抑えることができるボックス買いのほうが有利に働く可能性もあります。
全てのレースで流しが活かせるわけではない点は抑えておきたいです。
競馬の流しとは:まとめ
今回は競馬の流しについて紹介しました。
流しは軸馬と相手馬を組み合わせて購入する買い方で、高確率で馬券に絡む軸馬が見つかるようでしたら小数点買いで難しい券種も的中できるでしょう。
ただし、軸馬が馬券外に沈んだらその時点で馬券は外れてしまうので、ボックスやフォーメーションよりも難易度は難しいです。
しかしながら、長期的な収支向上には流しは欠かせません。
最初は難しいかもしれませんが、ワイドや馬連、三連複の流しはもともとの的中率も高くて初心者向けなので、そこから流しをマスターしてみてください。
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